残業代はどう計算される?
要点まとめ
- 残業代は「1時間あたり賃金」×「割増率」×「残業時間」で計算する。1時間あたり賃金は月給÷所定労働時間で求めるのが一般的。
- 基本の割増率:時間外(通常の残業)+25%、法定休日+35%、深夜(22:00〜5:00)+25%。複数条件が重なると割増は合算される(例:時間外+深夜=+50%)。
- 月60時間超の時間外には割増率50%の適用(働き方改革関連法に基づくルール、企業規模により適用時期の差あり)。
- 「固定残業代(定額残業)」が給与に含まれているか契約で確認。含まれている場合でも実労働が超えれば追加支払いが必要。
詳しい解説(初心者向け)
まずは計算の流れをシンプルに示します。
1) 1時間あたりの賃金を計算する
2) その賃金に当てはまる割増率を掛ける
3) 割増後の時間単価に残業時間を掛ける
例で説明します。
- 月給:300,000円(基本給+毎月受け取る手当を含む想定)
- 所定労働時間:1ヶ月160時間(=週40時間×平均4週)
1時間あたり賃金 = 300,000 ÷ 160 = 1,875円
通常の時間外(割増率+25%)の残業1時間の単価 = 1,875 × 1.25 = 2,343.75円
10時間残業した場合の残業代 = 2,343.75 × 10 = 約23,438円
(小数は端数処理が企業によって異なるため、実際の支払は会社規程に従います)
割増率の主なルール
- 時間外(法定労働時間を超えた分):+25%(1.25倍)
- 法定休日(会社が法定休日に働かせた場合):+35%(1.35倍)
- 深夜労働(22:00〜5:00):+25%(1.25倍)
重なる場合は合算して考えます。
- 例:時間外(+25%)かつ深夜(+25%)=合計+50%(1.5倍)
- 例:法定休日かつ深夜=+35%+25%=+60%(1.6倍)
月60時間超の割増(働き方改革)
- 月の時間外が60時間を超える部分には、割増率が更に引き上げられます(+25ポイント、つまり時間外の基本25%に加えて合計50%になることが多い)。
- これは長時間労働対策として法で定められたルールです。企業規模によって適用時期の差がありますが、最近は中小企業にも適用が拡大しています。
固定残業代(定額残業)について
- 給与明細や雇用契約書に「固定残業代○時間分含む」とあれば、予め一定時間の残業代が給料に組み込まれています。
- ただし「実際の残業時間>固定時間」の場合、超過分は別途支払われる必要があります。
- 明記がなく不明な場合は、会社に確認しましょう。
よくある疑問(Q&A)
Q: 通勤手当や一時的な手当は計算に入る?
A: 残業代の基礎賃金には通常、毎月定期的に支払われる手当(家族手当、職務手当など)は含めるが、通勤手当や臨時ボーナスは除くのが一般的です。具体的には給与明細と就業規則をチェックしてください。
Q: 会社が残業代を払わない/休ませてくれないときは?
A: まずは労使で話し合い、解決できない場合は最寄りの労働基準監督署(労基署)に相談できます。記録(出退勤記録やメール)を残しておくと助けになります。
チェックリスト(自分で確認すること)
- 雇用契約書/就業規則に所定労働時間と固定残業の記載があるか
- 月の所定労働時間(例:160時間)を把握しているか
- 給与明細で残業時間と残業代の計算根拠が明示されているか
- 深夜・休日出勤が発生しているとき、割増率が適用されているか
まとめ(次のステップ提案)
- まず自分の給与明細と雇用契約を確認しましょう。固定残業の有無や所定時間が鍵です。
- 自分で簡単な計算(上の例)をしてみて、会社の残業代と合っているかチェックしてください。
- 合わない場合は会社に問い合わせ、解決しないときは労基署へ相談を。記録を残すことが重要です。
必要であれば、あなたの給与・所定時間を教えていただければ、具体的な計算例を一緒に作成します。

コメント