青色申告の65万円控除が強力な理由は？

要点まとめ

• 青色申告の「65万円控除」は、事業所得から最大65万円を差し引ける大きな所得控除。
• 節税効果だけでなく、赤字の繰越（最長3年）や事業専従者給与の経費化などのメリットもある。
• ただし、複式簿記での正確な記帳や期限どおりの申告が必要で、手間や準備が必要。
• フリーランスで利益が出ている人・融資を検討している人・家族を給与で雇いたい人に特に向く。

1) 65万円控除とは何か（初心者向け）

青色申告の65万円控除は、所得税の計算で「事業所得」から65万円を丸ごと差し引ける仕組みです。イメージとしては「課税対象となる利益を65万円分だけ減らせる」ため、払う税金がその分だけ軽くなります。

なぜ強力かというと、65万円はそのまま所得を下げるため、税率が高いほどメリットが大きくなります。また、単に税額が減るだけでなく、損失繰越や専従者給与の経費化など、税務面で有利になるメリットがセットになっているからです。

2) 条件（簡潔に）

• 税務署に青色申告の承認申請を行っていること（開始時や新規開業後の期限に注意）。
• 複式簿記で帳簿を付け、貸借対照表（B/S）と損益計算書（P/L）を作成していること。
• 期限内に確定申告を行うこと。

（要するに「きちんと帳簿をつけてルール通り申告する人向け」の特典です。）

3) 具体的な節税イメージ（数値例）

例：年間の事業所得（収入−必要経費）＝400万円の場合

• 65万円控除なし：課税所得 = 400万円 → 税率を仮に20%とすると税額＝80万円
• 65万円控除あり：課税所得 = 335万円 → 税額＝67万円（20%の場合）

→ 税金の差は約13万円（65万円×20%）

ポイント：税率が上がるほど（所得が大きいほど）控除の価値が大きくなります。

4) 65万円控除以外の青色申告の主なメリット

• 赤字の繰越（損失の繰越）
• 事業が赤字になった年の損失を最長3年間にわたって翌年以降の黒字と相殺できる。

• 例：初年度で100万円の赤字→翌年以降の所得から差し引いて税負担を軽くできる。

• 事業専従者給与の経費化

• 家族に給与を払っている場合、一定の要件の下でその給与を経費にできる（結果的に家族の所得分散による節税に）。

• 金融機関の信用

• 複式簿記でしっかり帳簿をつけていると、融資申請時の信頼度が上がることがある。

5) デメリット・注意点

• 帳簿の手間

• 複式簿記は最初は馴染みがないため、学習コストや事務処理の時間が必要。

• 税理士費用や会計ソフト費用

• 手間を外注すると費用がかかる。会計ソフト導入で効率化は可能。

• 期限厳守

• 青色申告承認申請や確定申告の期限を守らないと適用されない。

6) 青色65万円控除、ほかの選択肢との比較（簡潔表）

• 青色65万円控除：要複式簿記、最大65万円控除、損失繰越3年、専従者給与可
• 青色10万円控除：簡易簿記でも可（条件緩やか）、控除は10万円程度
• 白色申告：帳簿の要件が緩いが、青色の優遇は受けられない

向いている人例：
– フリーランスで利益が出てきた人
– 家族を給与で雇いたい人
– 将来融資を受ける可能性がある人

7) 実際に始めるときのチェックリスト（ステップ）

1. 青色申告承認申請書を提出（開業日から2か月以内、または翌年3/15までが目安）
2. 会計ソフトを選ぶ（複式簿記に対応したものがおすすめ）
3. 日々の売上・経費を記帳する習慣を作る
4. 年度末に貸借対照表と損益計算書を作成する
5. 期限内に確定申告を行う

8) よくある質問（Q&A）

Q. 「簿記の知識がないけど大丈夫？」
A. 会計ソフトを使えば初めてでも対応できます。最初だけ税理士や会計サポートを受けるのも有効です。

Q. 「利益が少ない場合は意味ある？」
A. 利益が小さい場合は控除の恩恵が小さいこともありますが、損失繰越や専従者給与のメリットを考えると有利なケースが多いです。

まとめ（次の一歩）

• 青色申告の65万円控除は「税金を減らす」だけでなく「経営の信頼性向上」や「赤字の救済」など総合的に有利です。
• 最初は帳簿の手間が気になりますが、会計ソフトや税理士の力を借りれば十分始められます。

次のステップ：開業直後の方はまず「青色申告承認申請書の提出期限」を確認し、会計ソフトを1つ試してみることをおすすめします。

必要なら、あなたの収入や経費のざっくり数字を教えてください。具体的な節税効果を例で計算して、次にやるべきことを一緒に整理します。