個人事業主でも社会保険は関係する?
要点まとめ
- 個人事業主本人は「国民年金(基礎年金)」と「国民健康保険(市区町村)」が基本で、加入は原則必須。
- 従業員を雇う、または法人成り(法人化)すると、会社側で「健康保険・厚生年金(=社会保険)」の適用が生じることが多く、事業主にも負担が発生する。
- 自営業者向けの制度(国民年金基金、iDeCo、小規模企業共済など)で将来の保障を上乗せできる。
- 具体的な適用判断や保険料の算出はケースバイケース。疑問があれば年金事務所や社会保険労務士(社労士)へ相談するのが安心。
詳しい解説(初心者向けにわかりやすく)
1) 個人事業主本人の基本ルール
- 国民年金(基礎年金)
- 自営業者は第一号被保険者として加入します。老後の基礎年金を受け取るための制度です。
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保険料は定額(毎年見直しあり)。目安は月額約16,000〜17,000円(※直近の実際額は市区町村や年で変わります)。
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国民健康保険(国保)
- 住んでいる市区町村が運営する医療保険に加入します。保険料は所得や世帯の人数で計算され、市区町村ごとに差があります。
- 事業主負担という形で“会社が半分負担する”という仕組みは原則ありません(全額自己負担)。
ざっくり目安(年収の一例)
– 年収300万円の個人事業主:国民年金+国民健康保険で合計約30〜50万円/年になることが多い(市区町村や控除によって差が出ます)。
2) 「社会保険(健康保険・厚生年金)」は関係するか?
- 従業員を雇っている場合
- 原則として、従業員は事業所として健康保険・厚生年金に加入させる必要があります(適用事業所の判定は条件により細かい例外あり)。
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加入すると保険料は従業員と事業主(雇用主)で折半になります。つまり事業主の負担が増えますが、従業員は傷病手当金や育児休業給付などの手厚い給付を受けられます。
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法人成り(株式会社など)した場合
- 会社の代表者(役員)も原則として健康保険・厚生年金の対象になります(役員報酬がある場合など)。そのため、個人事業のときと比べて“事業主負担(会社負担)”が発生します。
- メリット:厚生年金により将来受け取る年金額が増える可能性、傷病手当金や出産手当金などの給付が受けられる。
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デメリット:給与(社会保険料)の半分を会社が負担するためランニングコストは上がる。
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短期・パート・アルバイトの扱い
- 労働時間や雇用形態によっては加入対象になる場合とならない場合があります。該当かどうかは個別判断です。
3) 個人事業主が取れる選択肢(社会保険に替わる・補う制度)
- 国民年金基金
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国民年金に上乗せして将来の年金を増やせる制度。掛け金は一定額まで所得控除の対象になります。
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iDeCo(個人型確定拠出年金)
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自分で掛金を拠出し、老後資金を作る仕組み。掛金は全額所得控除。運用次第で受取額が変わります。
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小規模企業共済
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事業をやめたときの退職金代わりに備える制度。掛金が所得控除になります。
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民間の所得補償保険(傷病手当の代替)
- 国保では傷病手当金がないため、長期の病気に備える保険を検討する人もいます。
4) 法人成り(法人設立)するとどう変わる?(比較表)
| 項目 | 個人事業主(従業員無し) | 従業員を雇う個人事業主 | 法人(代表者が被保険者) |
|—|—:|—:|—:|
| 健康保険 | 国保(全額自己負担) | 従業員は社会保険加入の可能性あり | 健康保険(協会けんぽ等)に加入、会社負担あり |
| 年金 | 国民年金のみ | 従業員は厚生年金に加入の可能性あり | 厚生年金に加入、将来の年金額が増える可能性 |
| 事業主負担 | なし(自分は全額) | 従業員分の折半負担が発生 | 会社が折半負担(事業費として計上可能) |
| 経費計上 | 社会保険料の会社負担はなし | 会社負担分は経費化可能 | 会社負担分は経費化(節税効果あり) |
5) まず何をすればいいか(手順)
- 自分の現状を把握する
- 従業員はいるか、雇用形態はどうか、家族を従業員にしているか等。
- 市区町村・年金事務所で確認
- 国保の料率や国民年金の免除、扶養の扱いなどは自治体で異なります。年金事務所や市区町村窓口で確認を。
- 将来の保障をどうしたいか整理
- 公的年金だけで足りるか、不足するならiDeCoや国民年金基金、共済を検討。
- 大きな判断(雇用拡大・法人成り)は税理士や社労士に相談
- 社会保険の適用・負担が事業計画に与える影響を踏まえ、専門家の見立てを取るのが安心です。
注意点とワンポイントアドバイス
- 「国保=安い/社会保険=高い」という単純比較は危険です。給付内容(傷病手当・出産手当・厚生年金の上乗せ)を含めてトータルで判断しましょう。
- 社会保険の適用には細かなルールや例外があります。ケースによっては適用除外になることもあるため、自己判断せず確認を。
- 将来の年金や医療の負担は長期的な家計に影響します。早めに情報整理や試算をしておくと安心です。
まとめ(次のステップ)
- 今すぐやること:市区町村の国保担当窓口、年金事務所、または信頼できる社労士に現状を相談する。
- 検討項目:従業員を雇う予定があるか、法人成りのメリット・コスト試算、iDeCo等での上乗せ。
必要であれば、あなたの年収、家族構成、従業員の有無などを教えてください。簡単な試算や次のアクションを一緒に整理します。

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